この記事で分かること!
・フェリー波之上の2等寝台A個室の概要や快適性
・他の客室との違いやフェリーの予約方法や運賃
・実際に乗船した際のフェリー内の様子
飛行機ではなく、あえてフェリーでのんびり島旅してみませんか?
今回は鹿児島から徳之島まで、マルエーフェリーの「フェリー波之上」の2等寝台A個室で移動してきました!
個室の快適さは? 船内の設備やレストランは? 予約って難しい? そんな疑問に答えるべく、乗船の流れや運賃情報、他等級との比較もあわせて、写真たっぷりでレポートします。
【はじめに】鹿児島〜徳之島航路の概要とおすすめ理由

鹿児島市から450キロほど離れた海上に浮かぶ徳之島。
鹿児島県内の移動ですが、東京から京都までと同じくらい距離が離れています。
そんな鹿児島ー徳之島間を結ぶフェリー航路の概要や航空機との比較についてご紹介します。
鹿児島〜徳之島間のフェリー航路
鹿児島-徳之島間には2種類の航路があります。
①マルエーフェリー/マリックスライン 鹿児島新港~沖縄(那覇)航路
1つ目が鹿児島新港から奄美の各島を経由して、沖縄(那覇)へと向かう航路です。
この航路はマルエーフェリーとマリックスラインによって運航されており、両社が1日ずつ交代で毎日就航しています。
運航ダイヤや運賃はマルエー/マリックス共通です。
今回乗船したのもこちらの航路です。
徳之島から乗船する場合、往復ともに夕方出発し朝到着するスケジュールとなるため利用もしやすいでしょう。
徳之島までのダイヤ | |||
鹿児島新港発 | 18:00 | 徳之島(亀徳)着 | 翌 9:10 |
徳之島(亀徳)発 | 17:00 | 鹿児島新港着 | 翌 8:30 |
②奄美海運 鹿児島港-平土野(徳之島)航路
徳之島へはマルエーフェリーのグループ会社である奄美海運によって運航されている航路もあります。
こちらの航路は沖縄航路も寄港する名瀬港に加えて、喜界島と奄美大島南岸の古仁屋にも寄港するため、よりゆっくりローカルな船旅が楽しめるのが魅力です。
鹿児島での発着港は鹿児島本港北埠頭ターミナルとなり、那覇航路とは異なるため注意が必要です。
また徳之島側の発着港も平土野港(天城町)となります。
徳之島までのダイヤ | |||
鹿児島本港発 | 17:30 | 徳之島(平土野)着 | 翌 12:20 |
徳之島(平土野)着 | 12:50 | 鹿児島本港着 | 翌 8:30 |
なぜフェリーで徳之島へ?選んだ理由と期待
徳之島までの交通機関はフェリーの他に航空機も利用可能です。
鹿児島空港から徳之島までの航空便は1日4便あり、所要時間は1時間〜1時間20分程度とフェリー利用するよりも大幅に短い時間で移動することができます。
運賃は購入時期にもよりますが、早期割引で概ね13,000円〜17,000円程度で購入することができます。
対してフェリーでの移動は、今回利用した2等寝台A個室の場合、約2万円かかります。
一見すると航空機の方が大幅に利便性が高そうに思えますが、フェリーと同じ時間帯に徳之島に到着しようとすると、徳之島行きの始発便搭乗のために鹿児島に前泊する必要があるため、ホテル代まで考えると結局はフェリーの方が安く移動できる可能性が高いです。
「寝ながら移動できる利便性」「船旅の特別感」
この2つが同時に味わえることに魅力を感じ、今回はフェリーで徳之島へ向かうことにしました。
マルエーフェリー「波之上」ってどんな船?

フェリーの設備と特徴
マルエーフェリーの「フェリー波之上」は、2012年9月に就航した総トン数8,072トンの大型貨客船で、鹿児島〜奄美群島〜那覇を結ぶ長距離航路に就航しています。
現在のフェリー波之上は5代目で、名前は那覇にある波之上宮から取られました。
就航から10年以上経っているため、最近就航した最新のフェリーに比べると内装や設備面で若干見劣りしますが、とはいえバリアフリー対応された現代船のためどんな方でも不満なく過ごすことができるでしょう。
鹿児島〜沖縄那覇航路には、マルエーフェリーの「フェリー波之上」/「フェリーあけぼの」、マリックスラインの「クイーンコーラルプラス」/「クイーンコーラルクロス」の計4隻の船が就航していますが、そのうち「フェリー波之上」は2021年就航の「クイーンコーラルクロス」についで2番目に新しい船です。
フェリー波之上の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
総トン数 | 8,072トン |
全長 | 145.0m |
全幅 | 24.0m |
旅客定員 | 707名 |
車両積載能力 | 乗用車約72台(5m換算)または トラック約48台(9m換算) |
コンテナ積載能力 | 10ftコンテナ 312個 |
就航年 | 2012年 |
航路 | 鹿児島新港〜奄美諸島〜沖縄・那覇港 |
航路間の船の違い
先述した通り、鹿児島〜徳之島間には2種類の航路が就航しています。
鹿児島〜沖縄(那覇)航路については8,000トン(クイーンコーラルプラスのみ6,000トン)クラスの大型船が使用されており、船内設備や客室にも余裕があります。
一方で、奄美海運によって運航されている鹿児島〜奄美群島内航路については3,000トンクラスの船が使用されており、その分共用設備や客室も少し簡素になっています。
航空機で例えるならば、沖縄(那覇)航路の船がB777/A350といった大型機で、奄美群島航路がB737/A320といったところでしょうか。
【比較】2等寝台Aと他の客室等級の違い(運賃・快適性)




フェリー波之上には用途に合わせて複数タイプの客室があります。
今回は主に1人旅行で使用されるであろう、2等の各客室の違いについて簡単にまとめたので乗船の際の参考にしてみてください。
・2等 運賃(徳之島まで):11,420円(学割 9,140円)
大部屋に雑魚寝スタイルの伝統的なフェリーの形式です。
雑魚寝と言っても頭の部分には間仕切りがあり、マットレスもあるので一定のプライバシーや快適性には配慮されています。
専用のコンセントがないのは少し困るかもしれません。
とにかく安く移動したい方におすすめ!
・2等寝台B 運賃(徳之島まで):13,500円(2等運賃 11,420円+寝台料金B 2,080円)
大部屋に雑魚寝ではなくなり、8人部屋に並んだ2段ベッドに寝る形式となります。
寝台にはカーテンがついているので、プライバシーや寝心地も格段にアップするでしょう。
ただ最大で8名が同部屋になるため、いびきや物音が若干気になる可能性もあります。
2等からの追加料金も比較的安く寝台内にコンセントもあるので、コストと快適性のバランスが良いお部屋です。
・2等寝台A(個室/カプセル):17,700円(2等運賃 11,420円+寝台料金A 6,280円)※今回利用
2等寝台Aになるとよりプライベート感が高まります。
個室であれば間違いなく1人の空間が確保できますし、カプセルタイプでも2等寝台Bとは違って出入りの際に周りの人にそこまで気を遣わなくても良くなります。
ホテルに近い環境になるので、ゆっくり休んで翌日からも元気に活動したい方におすすめです!
フェリー「波之上」の予約方法と運賃ガイド
マルエーフェリーの予約方法(電話・Web)
乗船日の1ヶ月前の同日8:30より電話またはWebにて予約が可能です。
下り便(奄美・徳之島・沖縄方面)は乗船の1日前、上り便は乗船の2日前までに予約しましょう。
予約センター:099-226-4141
予約サイトURL:https://ferry.smaku.app
※Web予約で取れる座席は限られているようで、Webで満席でも電話すれば予約できる可能性が高いです。
私はWeb予約を使いましたが、確実に予約するなら電話予約がおすすめ。
また2等旅客運賃(大部屋)のみ、ウィラートラベルおよびスカイチケットからも予約が可能です。
乗船チケットの購入・支払い方法
・Web予約の場合、予約の際にクレジットカードでの決済が可能です。
・電話予約の場合は、乗船当日に乗船手続きと同時に運賃の支払いを行います。
窓口でも各種のクレジットカードの利用が可能です。
Web予約をしていても、必ず窓口での乗船手続きが必要なので、Web予約でも電話予約でも乗船手続きの手間はそこまで変わりません。
運賃の目安
各等級ごとの片道運賃は下記の通りです。(2025年6月現在)
下記の額に加えて、等級に関わらず燃料油価格変動調整金(いわゆる燃油サーチャージ)が発生します。
2025年6月時点の調整金は、1,890円(鹿児島〜奄美群島・沖縄間)です。
最新情報は必ずマルエーフェリーのホームページで確認してください。
等級 | 客室タイプ | 鹿児島〜奄美大島(名瀬) | 鹿児島〜亀徳(徳之島) | 鹿児島〜那覇 |
---|---|---|---|---|
特等 | 洋室(2名個室) | 23,050円 | 28,550円 | 37,200円 |
1等 | 和洋室(最大5名個室) | 18,440円 | 22,840円 | 29,760円 |
2等寝台A | 洋室(1名個室)/ カプセル | 13,830円 | 17,700円 | 21,160円 |
2等寝台B | 洋室(8名相部屋) | 11,300円 | 13,500円 | 13,960円 |
2等(和室) ()内は学割運賃 | 大部屋(雑魚寝) | 9,220円 (7,380円) | 11,420円 (9,140円) | 14,880円 (11,910円) |
鹿児島新港ターミナルでの乗船手続きと準備

フェリーターミナルへのアクセス
フェリーの出港時間に合わせて鹿児島中央駅から路線バスが運航されています。
時間が合えばこちらを利用するのが便利です。
アクセスバス概要
運賃:190円 所要時間:20分(鹿児島中央から)
鹿児島中央駅 16:30発〜天文館 16:35〜鹿児島新港 16:50着
乗船手続き
バスはフェリーターミナルの1階に到着します。
乗船手続きは3階で行うので、エスカレーターに乗って上に上がりましょう。
3階に上がると乗船票の記入台が見えてきます。
乗船票は全員が記入必須なので、ここで記入しましょう。
乗船手続きの締め切り時間は、明確には示されていません。
HPにも「多客期においては出港時間の30分前までに受付終了をお願い致します。」と記載されているだけで通常期に関しての記載はありませんでした。
ただ乗船票の記入時間や、混雑の可能性も考えると乗船の1時間前を目安にターミナルに向かうのが無難かと思います。


上の画像のところで乗船票を記入します。

記入後は乗船票をカウンターに提出します。
マルエーもマリックスも同じカウンターを使用しているようです。

乗船票と引き換えに乗船券がもらえます。
私は今回WEB予約をしたので、予約完了メールに記載されていた予約NOも伝えました。
電話予約の方は、乗船票提出と同時に運賃もお支払いしましょう。
出発前の過ごし方(売店・待機場所など)

待合室からは目の前に桜島が望めます。
椅子はたくさんありますが、繁忙期には満席になるかもしれません。
待合室内には小さな売店が3店舗ほどありましたが、品数は限られているため必要なものはフェリーターミナルに着く前に買っておくことをおすすめします。
軽食は船内でも購入可能です。
乗船

18時の出港ですが、乗船は45分前の17時15分から始まります。

船に向けて通路を進んでいきます。
ここから船の全体像を見ることができます。

通路は結構長いです。
2等寝台A個室の詳細レビュー

ボーディングブリッジを渡り切るといよいよ船内です。
個室に宿泊する場合は、ここで乗船券を提示して部屋の鍵をもらいます。

2等寝台があるのは入口やインフォメーションのあるエリアの1つ上のフロアです。
2等寝台Aはバリアフリールームも含めて全部で8室です。
設備と快適性

2等寝台Aの部屋の前はこんな感じです。

部屋はこのようになっています。
シンプルですが、しっかり個室としてくつろげる空間が確保されています。

デスク周りです。
ライトやコンセントがあるので、船酔いしなければ簡単な作業はできそうです。

コンセントは2口です。

掛け布団と枕です。
枕は高くて固いので、気になる方は枕を持ってきた方がいいかもしれません。
私はこの枕は使わずに、着替えの服を枕にして寝ました。

テレビもあります。
壁やドアは薄く、音は多少漏れるので使用する場合は周りに配慮した方が良さそうです。
フェリー「波之上」の船内設備と共用スペース
売店
船内には売店があり、日用品や軽食等を購入することができます。
そこまで値段も高くなく良心的です。
お会計は現金のみ利用可能でした。
営業時間は下記の通りです。



左:お菓子やおつまみ類も調達可能です。
右:手作りおにぎりが100円で購入できます。


おにぎりセットも売っていました。
値段を失念してしまいましたが、300円くらいだったかと思います。


日用品も売っています。
船内では基本的に備え付けのアメニティはないので、持って来るのを忘れた場合もここで購入しましょう。
2等寝台Aでも特に歯ブラシやタオル等の設置はありませんでした。

お土産も購入可能。

なぜか異様に安い値段で売られていたマスク。
便利な船内設備や過ごし方
ロッカー
2等室(大部屋)向けの設備だと思いますが、貴重品ロッカーの設置があります。

静脈認証式でセキュリティもバッチリです。
鍵や暗証番号だと失くしたり忘れたりするリスクがありますからね。

喫煙室
喫煙室も設置されており、しっかり分煙されています。

シャワー室
最近のフェリーでは大浴場が設置されているものも多いですが、フェリー波之上はシャワーのみです。
最終目的港の入港1時間前まで好きな時に利用することができます。
シャンプーやタオル等の備え付けはありません。

ドライヤーはシャワー室ではなく、近くのトイレ内に設置されていました。

船内レストランでの食事レビュー
フェリー波之上には結構しっかりしたレストランがあるので、食事の時間帯には温かい食事をいただくことが可能です。
営業時間とメニュー


レストランの営業時間は上の画像の通りです。
営業時間が限られていますが、この時間内に注文すればOKで食べるのはこの時間内でなくても大丈夫です。
レストランのスペースは食事の時間帯以外もフリースペースとして開放されています。


私が乗船した際のメニューはこんな感じでした。
なんとなく揚げ物が多めな気がします。
とはいえ船内でもしっかりとした食事を楽しめるのはありがたいです。

私は唐揚げ定食をいただきました。
自動販売機の内容
レストランの近くには自動販売機が設置されており、色々な飲み物を買うことができます。

コカコーラのソフトドリンク自販機。
陸地より20円くらい高いかな〜という感じです。


自動販売機で買えるお酒のラインナップは結構充実しています。
こちらは自販機だとこんなもんかな〜といった感じの値段です。


沖縄に向かう船だけあって、オリオンビールも購入できます。
金麦もあり。
揺れや寝心地について
私が乗船した日は1月でしたが、海も穏やかであまり揺れることなく徳之島に到着しました。
2等寝台の個室を選択したことで、周りの方に気を使うことなくゆっくりでき、徳之島についてからも眠くなることなく元気に活動することが可能でした。
ただ備え付けの枕が固くて高いので、そこだけが少しbadポイントだったかなと思います。
とはいえ、移動しながらゆっくり休息できたフェリー波之上の2等寝台A個室は大いに課金価値ありでした!

奄美大島の名瀬港停泊中の様子です。
大きなトラックが次々と出てきて、フェリーが島の物流を支えていることがよく分かります。
名瀬港には午前5時ごろ到着しますが、このタイミングでアナウンスが入るので目が覚める人も多そうです。

徳之島到着時はタラップで下船。
乗船券を回収されて解散です。
安全運航ありがとうございました!
【まとめ】フェリー波之上の2等寝台A個室で快適な船旅を

ここまでマルエーフェリーの「フェリー波之上」の2等寝台A個室を中心に、船旅の様子をご紹介してきました。
この記事を通した私の結論は下記の通りです!
まとめ!
・個室でゆっくり休める2等寝台A個室は課金する価値あり!
・鹿児島〜徳之島間は所要時間がちょうどよく特に課金価値が高い
・フェリー波之上は設備が充実していて、多くの方が快適に過ごすことが可能!
船旅はまだまだ一般的ではなく、選択肢になかなか入りづらいところもあるのではないかと思っています。
この記事を通して、フェリーに乗ってみたいと思っていただける方がいたら大変嬉しいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
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